派遣求人を見ていると、「交通費ありと書いてあるけれど、実際はいくら支給されるんだろう」と気になりますよね。
支給額が少ないと、その分は自分で負担しなければなりません。
厚生労働省の調査では、通勤手当の支給がある派遣社員の割合は、2017年の51.0%から2022年には84.4%に増えました。
ただし、交通費が全額支給されるとは限らず、支給額や上限は派遣会社や求人によって異なります。
この記事では、派遣社員の交通費の決まり方と、求人選びで確認したいポイントを解説します。
目次
派遣社員は交通費をもらえる?
派遣社員にも、交通費や通勤手当が支給される場合があります。
ここからは、支給方法や金額の決まり方を見ていきましょう。
派遣社員には通勤手当が支給される
通勤手当は正社員だけのものではなく、派遣社員も対象です。
ただし、求人に「交通費あり」と書かれていても、全額が給与とは別に支給されるとは限りません。
交通費に当たる金額が時給に含まれていたり、支給額の上限や対象となる通勤方法が決められていたりする場合もあります。
通勤手当の支給方法や金額は、法律に基づく2つの方式に沿って決まります。
労働者派遣法の改正
2020年4月の労働者派遣法改正により、派遣社員の給与や手当は、次のどちらかの方式で決められます。
・ 派遣先均等・均衡方式
・ 労使協定方式
通勤手当も、この2つの方式に沿って条件が決まります。
ただし、法改正によって一律の支給額が決まったわけではなく、実際の支給方法や金額は派遣元によって異なります。
交通費と通勤手当の違い
一般的に、交通費は移動にかかる費用を広く指す言葉です。
一方、通勤手当は、自宅から勤務先までの通勤費用を補うために、会社から支給される手当を指します。
例えば、自宅から派遣先の工場までの電車代は、通勤手当の対象です。
勤務中に別の工場や研修会場へ移動した場合は、業務上の交通費や出張旅費として扱われます。
ワンポイントアドバイス
求人では「交通費」が「通勤手当」とほぼ同じ意味で使われることもあります。
名称だけで判断せず、どの移動にかかる費用が支給されるのかを見ておきましょう。
交通費の支給額の決め方
派遣社員の交通費に、全国共通の金額はありません。
支給額の主な決め方は、実費支給と定額支給の2つです。
実費支給
通勤にかかった費用をもとに、支給額を決める方法です。
電車やバスの場合は、定期代や出勤日数分の運賃をもとに計算します。
車通勤では、自宅から派遣先までの距離をもとに決める場合があります。
定額支給
実際にかかった費用にかかわらず、あらかじめ決められた金額を支給する方法です。
例えば、交通費として毎月5,000円が支給される場合、実際の交通費が月8,000円なら、差額の3,000円は自己負担です。
実際の支給額は、通勤方法や距離、出勤日数、支給上限などによって異なります。
求人を見るときは、自分の場合にいくら支給されるのかを確認することが大切です。
ワンポイントアドバイス
交通費について聞くのは、条件ばかり気にしていると思われそうで不安かもしれません。
しかし、働き始めてから自己負担が増えないよう、求人票で分からない場合は、仕事の紹介時に支給額と上限を確認しておきましょう。
派遣社員の交通費支給の仕組み
通勤手当の条件は、「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」のどちらかに沿って決まります。
違いは、何を基準に給与や手当を決めるかです。
ここからは、それぞれの仕組みを見ていきましょう。
派遣先均等・均衡方式
派遣先均等・均衡方式は、派遣先で同じような仕事をする社員を基準に、派遣社員の給与や手当を決める方法です。
通勤手当も、派遣先の社員との間に不合理な差が出ないように条件を決めます。
ワンポイント
ただし、仕事内容や責任の重さなども考えて決めるため、 必ず同じ金額になるわけではありません。
労使協定方式
労使協定方式は、派遣元と労働者の代表が決めたルールをもとに、給与や手当を決める方法です。
基本給や賞与は、同じ地域で似た仕事をする人の平均的な賃金を下回らないように決めます。
通勤手当の支給方法も、このルールに沿って決まります。
この方式では、国が示す金額を基準に、通勤手当を決める場合があります。
次に、具体的な計算方法を見ていきましょう。
労使協定方式における交通費の計算方法
労使協定方式では、交通費を実費で支給する方法と、国が示す交通費の基準額で計算する方法があります。
2026年度の国の基準額は、勤務1時間あたり79円です。
1日8時間・月20日働く場合は、次の金額になります。
79円×8時間×20日=1万2,640円
ただし、これは給与とは別に支給される金額ではなく、通勤手当が国の基準を満たしているか確認するための目安です。
派遣社員の経費精算の流れ
通勤手当を受け取るには、多くの場合、働き始める前に派遣元(派遣会社)への申請が必要です。
ここでは、申請から支給までの流れを見ていきましょう。
派遣元に経費申請する
まず、派遣元の案内に沿って、通勤ルートと交通手段を申請します。
電車やバスを使う場合に伝えるのは、利用する区間や経路、定期代などです。
定期券の領収書や写しが必要になることもあります。
車通勤では、通勤距離に加え、運転免許証や車検証、任意保険の書類などを求められる場合があります。
ワンポイントアドバイス
申請内容や期限は派遣元ごとに異なるため、案内を確認しておきましょう。
引っ越しや派遣先の変更で通勤ルートが変わったときも、変更手続きが必要です。
派遣元が派遣社員に支払いする
通勤手当は、多くの場合、給与と一緒に派遣元から振り込まれます。
派遣元によっては、定期代を数か月分まとめて支給することもあります。
給与明細を受け取ったら、金額や支給期間に間違いがないか確認しましょう。
ワンポイントアドバイス
派遣元には、給与や手当などの条件を説明する義務があります。
金額や計算方法が分からないときは、担当者へ聞いてみてください。
派遣元が派遣先に請求する
派遣元は、契約に沿って派遣先へ費用を請求します。
会社同士の手続きなので、派遣社員が対応する必要はありません。
派遣先が派遣元に支払いする
派遣先は、請求内容に沿って派遣元へ費用を支払います。
派遣社員の給与や通勤手当は、派遣元から支給されます。
派遣社員に交通費が出ないケース
交通費が給与とは別に支給されない主な理由は、次の2つです。
・交通費に当たる金額が時給に含まれている
・派遣元が定める支給条件を満たしていない
「交通費なし」と思っていても、実際には時給に含まれている場合があります。
一方、支給上限や申請内容によっては、一部が自己負担になることもあります。
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
交通費を加味して時給を設定している
派遣求人には「時給1,400円・交通費込み」のように、交通費に当たる金額を時給に含めているものがあります。
この場合、交通費は給与とは別に支給されません。
ただし、交通費込みの求人が必ず損とは限りません。
比較するときは、時給差で増える金額が、毎月の通勤費を上回るかがポイントです。
次の2つの求人を、1日8時間・月20日勤務で比べてみましょう。
・求人A:時給1,500円・交通費込み
・求人B:時給1,450円・交通費を別に全額支給


この例では、求人Aの給与が求人Bより月8,000円高くなります。
月の通勤費が8,000円未満なら求人A、8,000円を超えるなら求人Bの方が、手元に残る金額は多くなります。
求人を比べるときは、時給だけでなく、交通費を負担したあとにいくら残るかも確認しましょう。
交通費が出る条件を満たしていない
交通費は、派遣元が定める条件を満たした範囲で支給されます。
条件に当てはまらない場合は、支給されなかったり、一部が自己負担になったりします。
・支給額の上限を超えている
・申請した通勤ルートと実際のルートが異なる
・バス代や駐車場代が支給の対象外になっている
・通勤ルートの申請や変更手続きが済んでいない
また、月の途中で入社した場合や欠勤した場合は、日割りで計算され、支給額が通常より少なくなることもあります。
派遣社員が出張する場合
出張にかかる交通費や宿泊費は、普段の通勤手当とは別に扱われます。
契約書に記載があれば出張の可能性もある
研修や応援業務などで、ほかの事業所や工場へ行く場合があります。
出張の可能性は、契約書などに記載された業務内容や就業場所で確認できます。
事前に聞いていない出張を依頼された場合は、派遣元へ相談してください。
旅費は派遣先が負担する
出張に必要な交通費や宿泊費は、派遣元と派遣先の取り決めにより、派遣先が負担する場合があります。
ただし、派遣社員への支払いは、派遣元を通して行われることもあります。
出張前に、申請先や立て替えの有無、領収書が必要かを確認しておきましょう。
また、交通費や宿泊費とは別に、出張日当が支給される場合もあります。
出張日当は、出張中の食事代や細かな出費を補う手当です。支給の有無や金額は、派遣元によって異なります。
派遣社員の交通費に関する注意点
派遣求人を比べるときは、「交通費あり」という表記だけで判断しないことが大切です。
支給額や自己負担に加え、税金や社会保険での扱いも見ておきましょう。
待遇を総合的に見て条件を判断する
交通費が多く支給されても、必ずしも条件のよい求人とは限りません。
時給や通勤時間、交通費の自己負担、駐車場代などを含めて比べることが大切です。
ワンポイントアドバイス
工場勤務では、無料駐車場や送迎バスの有無、夜勤時の通勤方法も確認しておきましょう。
社会保険料と交通費の関係
通勤手当は、所得税がかからない範囲でも、社会保険料を計算する際の収入に含まれます。
ただし、通勤手当が増えたからといって、必ず社会保険料が上がるわけではありません。
給与や手当の合計額をもとに決まります。
参考:標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのか|日本年金機構
税金と交通費の関係
会社から支給される通勤手当は、一定額まで所得税がかかりません。
電車やバスの場合は、通常の通勤経路にかかる金額について、月15万円までが非課税です。
15万円を超えた部分には、所得税がかかります。
なお、自分で負担した通勤費は、一定の条件を満たす場合のみ控除の対象です。
詳細は派遣会社に確認する
求人票には、具体的な支給額や対象範囲まで書かれていないことがあります。
詳しい条件は、派遣会社に確認しましょう。
確認したい項目は、次のとおりです。
・交通費は給与とは別に支給されるか
・支給額の上限はいくらか
・バス代やガソリン代、駐車場代も対象になるか
・月途中の入社や欠勤時はどのように計算されるか
・いつの給与から支給されるか
「電車とバスで通勤する予定です。支給額や上限、対象となる通勤ルートを教えてください」と伝えると、必要な情報を確認しやすくなります。
派遣社員も交通費は支給されます!
・派遣社員も、求人や派遣会社の規定に応じて交通費が支給される
・支給方法には、実費支給・定額支給・時給込みなどがある
・支給上限や対象となる通勤経路は、派遣会社によって異なる
・求人を選ぶときは、交通費の自己負担額まで確認する
仕事を選ぶときは、時給や月収だけでなく、通勤にいくらかかるかも見ておきましょう。
ものっぷでは、交通費支給や送迎ありの製造業求人も掲載しています。
約1分で完了する簡単登録のほか、AIチャットに希望条件を入力して、自分に合う求人を探すこともできます。
通いやすさや希望条件を比べながら、自分に合う仕事を見つけてみてください。



【工場勤務で副業は可能?】-ものっぷなびーコラム-サムネイル画像-1月.jpg)
【単純作業とはどんな仕事?】-ものっぷなびーコラム-サムネイル画像-11月.jpg)

