「社員とパートの違いはわかる。派遣もわかるけど、契約社員って派遣社員と何が違うの?」
こんな風に思う人はいませんか?
派遣社員と契約社員は似ている部分も多く、実際に経験した人でないとその違いはピンと来ないかもしれません。
この記事では、派遣社員と契約社員の違いがわかるようにそれぞれの特徴をまとめました。
【この記事の要約】
● 派遣社員と契約社員の違いとは?
● 派遣社員のメリット
● 派遣社員のデメリット
● 契約社員のメリット
● 契約社員のデメリット
● 派遣社員から契約社員に切り替える際のポイント
● 自分に合った雇用形態を選ぶための考え方
例として挙げるものはそれぞれ一部です。たくさんあるので代表的なものに絞っています。
それでは詳しく解説していきます。
目次
派遣社員と契約社員の違いとは?
まず、派遣社員と契約社員の違いを4つのポイントで確認していきましょう。
雇用主の違い
派遣社員と契約社員の最も大きな違いは雇用主の違いです。
派遣社員は人材派遣会社に雇用されて就業先企業に派遣されます。一方、契約社員は就業先の企業に直接雇用されます。
就業先企業からみて派遣社員は、派遣会社を通じて雇用している「間接雇用」の関係にあたります。
契約期間に関する違い
派遣社員の雇用期間は、派遣法によって最長3年までと決まっています。同じ就業先で3年以上働くことはできないため、また別の派遣先を探して就労することとなります。
ただし、同じ派遣でも無期雇用派遣の場合は派遣元である派遣会社に無期契約で雇用されるため、派遣法の3年ルールが適用されず、同じ派遣先で長期間働き続けることも可能です。
契約社員も派遣社員と同じく、1回あたりの雇用期間の上限は3年とされていますが、契約更新が可能な点が派遣社員とは異なります。そのため、契約社員は3年を過ぎても更新さえすればそのまま同じ就業先で働き続けることができます。
また契約社員は、一定の条件のもと5年以上就業すれば、有期雇用から無期雇用への転換申請が可能です。
給与
派遣社員は時給制で、交通費は時給に含まれている場合があります。反対に、契約社員は月給制が一般的で、交通費は別途支給されることが多いようです。給与は雇用主から支払われますので、派遣社員は人材派遣会社から、契約社員は就業先企業から受け取ることになります。給与を時給換算した場合は派遣社員の方がやや高い傾向です。
また、派遣社員は週4勤務や1日6時間勤務などの柔軟な働き方が可能な場合もありますが、契約社員はフルタイム勤務が基本になっています。
福利厚生や有給休暇
福利厚生や有給休暇は雇用主の会社の規定が適用されます。つまり、派遣社員なら人材派遣会社、契約社員なら就業先企業の福利厚生や有給休暇が使えます。
有給休暇の日数は、以下の通りです。
・週5勤務…6ヶ月経過後に10日付与。1年経過するごとに1日ずつ増えていき、最大20日まで取得可。
週4勤務など勤務日数が少ない場合は、取得できる日数が変わるので注意してください。
派遣社員のメリット
ここから派遣社員と契約社員のメリット・デメリットをそれぞれ説明していきます。
まずは派遣社員のメリットを見ていきましょう。
早めに仕事に就ける
派遣社員は派遣元での採用選考のみのため、一般的な企業よりも選考フローが少なく、早めに働くことができます。早ければ数日から1週間で就労開始になることもあるでしょう。
通常、就労するためには就労先での採用選考を経る必要がありますが、派遣社員は派遣法により派遣先での選考が禁止されているため、スムーズに職に就くことができます。
早めに収入を得たい人にはおすすめです。
派遣社員は時給が高い傾向がある
派遣社員の時給には、ボーナスや交通費が含まれていることに加えて、雇用の不安定さを補う目的から一般より高く設定されている傾向があります。
また、派遣社員の募集を出す企業は、人材確保に急いでいる場合が多く、時給を高くすることで早急に人手不足を解消しようと考えている側面もあります。アルバイトやパートを雇うよりもコストがかからないことも時給を高くできる理由の一つになっているようです。
派遣会社が仕事を探してくれる
派遣社員は雇用が不安定とは言われるものの、実はキャリアが途絶える心配はあまりありません。確かに一つの就業先での仕事は契約期間とともに終了しますが、派遣会社が次の就業先を紹介してくれるため、収入がなくなる可能性は低いのです。
契約更新がない場合に自分で仕事を探さなければならない契約社員にはないメリットです。
様々な業界・職種で経験を積むことができる
派遣の仕事は事務系の職種から専門職種まで幅広く募集があります。雇用期間が定められているからこそ、一つの仕事が終われば次、また次と、どんどんジャンルの違う仕事に挑戦することができます。転職では少ない未経験でもOKの求人が多いのも派遣の特徴です。
新しい仕事に就くたびにスキルが増えていくので、できるだけ多くの業界、職種を経験したいと考えている人には最適です。飽きることなく新鮮な気持ちで働き続けられるでしょう。
派遣会社からのサポートを受けられる
派遣会社は、派遣する社員が就業先企業でスムーズに業務が行えるように、業務に役立つ研修や資格取得の支援などのさまざまなサポートを行っています。これら独自のサポートを受けられるのも派遣社員のメリットでしょう。直接、就業先の企業に雇用される契約社員にはない手厚い就業サポートです。
なお、具体的なサポート内容は派遣会社によって異なるため、どの派遣会社を利用するか選ぶ際の参考にしてください。
給与や待遇の交渉は派遣会社が代行する
派遣社員と就業先企業との間には必ず派遣会社が入るため、直接交渉することはありません。言い出しにくい給与や待遇の交渉などもすべて派遣会社が代行してくれます。ほかにも就業先で困ったことがあればいつでも派遣会社を通して相談できるので、問題を抱え込むことはないでしょう。
派遣という就業形態を選択する人の中には、色々な事情を抱えている人も少なくありません。そのような個別事情にも派遣会社が配慮しながらできる限り仕事の調整をしてくれます。
派遣社員のデメリット
次に、派遣社員のデメリットを確認します。
評価は給与に反映されない
無期雇用派遣を除く派遣社員は、最長でも3年間の雇用契約のため、当該派遣社員が途中で抜けても他のスタッフでフォローできるような仕事を担当することになります。また、採用にあたって選考もしない場合もあるため、裁量権があるような仕事も与えられないのが現実です。結果的に、派遣社員が担当する業務は、定型業務やルーティン業務になるため、主体的に考えて仕事をしたい人にとっては物足りなさを感じる可能性があるでしょう。
雇用が安定しない可能性がある
無期雇用派遣を除く派遣社員の契約期間は長くて3年のため、いろいろな仕事を転々とすることになります。もちろん契約期間が終了すると、派遣会社が次の派遣先を紹介してくれますが、すぐに業務開始できる求人が希望に合う派遣先とは限りません。当然、一つの会社に無期限で雇用される方が生活は安定するでしょう。また、万が一派遣先企業が経営難に陥った場合に真っ先に契約を切られるのは自社の直接雇用でない派遣社員です。このことからも派遣は安定した仕事とは言いづらい側面がありますが、無期雇用派遣であれば派遣元との雇用は継続しているため、一つの派遣先での契約が終了しても、収入が途絶える心配がありません。
交通費やボーナスが支給されないことも
派遣社員にボーナスはありません。交通費も時給に含まれている場合がほとんどです。派遣社員の時給が一般より高く設定されているのにはこのような理由があります。一方で契約社員の場合は、上限はあっても基本的に交通費は支給されることが多いため、これまで派遣で働いたことがない人は注意が必要です。「交通費は支給されて当たり前」と思い込み、遠方の企業を選んでしまうと、せっかくのお給料から多くを交通費で消費せざるをえなくなってしまう可能性があります。
派遣期間制限がある
派遣期間制限とは3年ルールとも呼ばれている法律で、同一企業に3年以上働いてはならないとする決まりです。3年を超えて働く場合は、派遣先企業の直接雇用にする必要があるため、雇用が安定すると見込んで策定されました。
しかし、直接雇用を希望しない企業は、この3年が経過する前に契約の解除を申し出る可能性もあり、逆に雇用を不安定にさせている一面もあります。
派遣先で直接雇用されない限り、3年ごとに職場が変わり、その都度仕事を覚え直さなければなりません。
一方、派遣元の派遣会社に無期契約で雇用される無期雇用派遣は、派遣先での契約期間が終了しても派遣元において雇用の安定が実現できているため、3年ルールは適用されません。
契約社員のメリット
次は契約社員です。契約社員は就業先に直接雇用されます。どのようなメリットがあるか見てみましょう。
交通費の支給がある場合が多い
契約社員は交通費が支給されるケースが多くあります。そのため、多少遠くの勤務地であったとしても、交通費を気にせずに通えるでしょう。派遣社員と違って、交通費は給与とは別に支給されるため、その点は安心です。ただし、契約社員への交通費支給は法律上定められていることではないため、実際就業する企業の交通費支給有無は必ず事前に確認しておきましょう。
正社員登用のチャンスがある
正社員への登用制度がある企業であれば、契約社員から正社員になれる可能性があります。厚生労働省の調査によると、非正規社員から正社員への登用実績は事業所全体の4割~5割程度です。
ただし何も言わずに契約更新の時期を迎えてしまうと、ただ契約が更新されるだけの可能性が高くなります。正社員登用を狙う場合、契約更新の時期が近づいたら自分から上司に対して希望を伝えてみることが大切です。
多様な業務に携わる機会がある
契約社員は就業先企業の多様な業務に携われる可能性があります。
派遣社員の場合は、就労の際に派遣会社と取り交わした契約書に記載された業務しか行うことができません。一方で契約社員は、雇用契約書に書かれていない業務もまかされることがあります。これは企業が直接雇用しているメリットです。正社員と変わらない責任範囲の仕事に携われることもあるので、モチベーション高く仕事ができるでしょう。
転勤や異動がない
契約社員の勤務地は雇用される時点で決められているため、基本的には転勤や異動がありません。育児や介護など、事情によりどうしても転勤ができない人でも安心して働けるでしょう。
ただし、業務内容と同じく、会社の状況によっては転勤や異動を打診されることもゼロではありません。会社によって就業規則は違うため、絶対に転勤不可の人は入社前に必ず確認しておきましょう。
ワークライフバランスを保ちやすい
契約社員の勤務形態や業務内容は雇用契約ごとに決定されるため、承認さえ得られればフルタイム以外の就業も可能です。正社員よりもワークライフバランスを保ちやすくなります。もちろん繁忙期や責任範囲が大きい仕事をまかされた場合などはこの限りではありませんが、それでも正社員ほどでは決してありません。定時退社や長期休暇も取りやすい傾向にあります。
契約社員のデメリット
一方、契約社員には以下のようなデメリットがあります。
契約期間が定められている
契約社員は有期雇用の社員です。正社員のように一度入社すれば定年まで働けることが約束されているわけではないため、雇用が安定しているとは言い難いでしょう。会社の経営状態が悪化した場合は、正社員より先に契約を切られることを覚悟しなければなりません。ただし、とくに業績など問題がなければ、派遣社員と違って契約更新は可能です。さらに継続勤務年数が5年以上あれば無期雇用への転換もできます。
契約更新がされなかった場合は就職活動をしなければならない
会社の業績不振や勤務態度が極めて悪いケースなどは契約更新されないこともあります。契約社員は有期雇用のため、もし契約が更新されなかった場合には、次の就職先を自分で見つけなければなりません。ここは派遣社員と大きく異なる点です。次の転職先が決まるまでは収入がない期間が発生します。
キャリアを積みにくい
契約社員は雇用期間に定めがあるため、大きな責任を伴うような仕事は任せにくい傾向があります。簡単な業務やルーティンワークが多くなると、自己成長の機会が得られず、キャリアが積みづらくなるでしょう。スキルアップできるような業務も少ないため、転職するにしてもスキル不足で転職先が見つからない可能性もあります。このような現状から、契約社員時代の経験をキャリアとして見なさない企業も一部あります。
昇給や昇進のチャンスが少ない
雇用期間と職務内容が限定的なため、契約社員には昇給や昇格がありません。いくら仕事で成果を上げてもキャリアアップは期待できないでしょう。仕方のないこととはいえ、頑張っても客観的評価が変わらない中でモチベーションを維持し続けるのはなかなか厳しいものがあります。
なお、契約更新のタイミングで給与や役職の見直しを交渉することはできます。可能性は低いですが、交渉してみる価値はあるでしょう。
派遣社員から契約社員に切り替える際のポイント
同じ就業先で継続して働きたい場合、契約更新のタイミングで派遣先企業での直接雇用の契約社員への切り替えを希望する人もいるでしょう。
派遣社員から契約社員に切り替える際のポイントを説明します。
契約社員としての条件を事前に確認する
派遣社員から契約社員に切り替えたとしても、必ずしも条件が良くなるとは限りません。たとえば、契約社員は月給制がほとんどですが、中には固定残業代が含まれている場合もあり、「残業したのに思っていたよりも給与が増えた実感がない」という場合もあります。派遣社員の時給制のようには残業代が支払われないかもしれず、トータルで計算すると年収が下がることもあり得ます。また、人手不足を理由に経験したことのない業務を担当させられる可能性もあるでしょう。
給料、業務内容、副業可否、ボーナス・交通費の条件は事前に確認しておくことをおすすめします。
長期的な雇用が保証されていない点に留意する
派遣社員の立場からすると、就業先企業に直接雇用される契約社員は雇用が安定しているように見えるかもしれません。しかし、契約社員も派遣社員と同じ有期雇用の社員です。特段問題がなければ契約更新されるとはいえ、長期的な雇用は保証されていません。会社の経営状態が悪くなった場合は、派遣社員の次に切られる存在です。40代や50代になってから契約更新を断られるリスクも考慮しておいた方が良いでしょう。
自分に合った雇用形態を選ぶための考え方
どの雇用形態にもメリットとデメリットが必ずあります。その中で一番大切なのは自分に合うかどうかです。
自分に合う雇用形態を選ぶための考え方を説明します。
キャリアアップを見据えた選択
将来的にキャリアアップをしたいのなら、正社員登用制度のある会社の契約社員になる方がよいかもしれません。契約社員は派遣社員より従事する業務範囲が広くなります。また会社によっては、実質的に正社員と変わらないレベルの責任ある仕事に携われる可能性もあります。そこで評価を上げて、正社員登用試験を受けるのも一つの方法です。
ライフスタイルに合わせた働き方の見極め
無理なく仕事を続けるためには、自分のライフスタイルに合う働き方ができる雇用形態を選ぶべきです。育児や介護などの優先すべき事情を抱えている場合は、バリバリ仕事がしたくても正社員では現実的に難しいケースもあります。その点、契約社員や派遣社員であれば仕事内容も時間も融通が利きやすく、無理なく両立が可能かもしれません。
妥協ではなく、大切なものを諦めないために、最善の選択をしましょう。
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いかがでしたでしょうか。
派遣社員と契約社員、どちらが優れているという話ではありません。ぜひ自分のスタイルに合う雇用形態でベストな働き方を目指してください。
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