製造業や工場の現場で、設備保全の仕事は欠かせない存在です。機械や設備がスムーズに稼働し続けるためには、定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。こうした重要な任務を担う設備保全の仕事は果たしてどれくらい稼げるのでしょうか?本記事では、設備保全の主な仕事内容や年収相場、さらには収入を上げるためのコツについて詳しくご紹介します。設備保全に興味がある方や、これから転職を考えている方はぜひご参考にしてみてくださいね。
【この記事の要約】
・設備保全とは?
・設備保全の特徴
・設備保全の仕事の年収は?
・年収を上げるには資格取得がおすすめ
・年収アップが期待できる会社の特徴とは?
・設備保全の仕事のやりがい
・設備保全の仕事が向いている人の特徴
・機械や設備に携わる仕事探しは「ものっぷ」がおすすめ!
なお、記事の中で例として挙げるものは、それぞれ一部です。代表的なものに絞って紹介します。
目次
設備保全とは?製品の生産に必要な機械を保守・保全する重要な仕事!
設備保全とは「設備のお医者さん」のようなもので、機械や設備が常に最適な状態で稼働できるようにすることです。一言に設備保全といっても内容は大きく分けて
「未然に防ぐための予防保全」「トラブルが起こってしまった後の事後保全」「トラブルの兆候を予測して対応する予知保全」の3種類があります。
では、それぞれ詳しく説明していきます。
未然に防ぐ、予防保全
予防保全とは、定期的かつ計画的にメンテナンスを実施するための計画「保全計画」を立てて、工場の機械や設備が壊れないように点検や修理、部品の交換などを行うことです。
機械や設備の故障を未然に防ぐことにより、製造現場を安定稼働させることができるので、とても重要な役割といえます。
トラブル時の対応、事後保全
事後保全とは、機械や設備のトラブルが発生してから対処することです。具体的には機械が停止してしまって何も製造できなくなってしまったり、機械が故障して何かしらの性能が通常よりも低下してしまった際に解決するための保全業務です。停止してしまっている場合は、何も製造できなくなってしまうため緊急性が高く、すぐの対処が求められます。
トラブルの兆候を予測して対処、予知保全
予知保全とは機械や設備の故障、トラブルを未然に防ぐために兆候を予測して先に対処することです。AI、IOT(モノのインターネット)などを活用して機械や設備の監視データからトラブルの予兆を見極めて、適切なタイミングで対処します。予防保全と同じように思われるかもしれませんが、予防保全よりもムダの発生を抑えることができます。なぜなら予防保全は「仮にまだ使用できる部品であっても、一定の期間が経過したら交換」をしますが、予知保全の場合は「故障しそうなタイミングだから部品を交換」するためです。充電に例えると「夜寝る前に充電する」が予防保全、「充電の状態をチェックして、残り10%になったから充電する」が予知保全のイメージです。


設備保全の特徴を教えて!
次にどんな特徴があるのか、説明していきます。
働く人々の安全を確保する
これまでに製造業の経験がある方はご存じかもしれませんが、工場の機械や設備は大型の機械やベルトコンベヤー、刃物軸が回転するフライス盤など、様々なものがあります。
これらは生産するために必要なものですが、万が一故障や誤作動が発生すると怪我につながる可能性だけでなく、命にまで関わる危険もあります。設備保全によってそういった危険を防ぎ、安全を確保することができます。「安全第一」という言葉は聞いたことがある方も多いかと思いますが、その通り、工場で一番優先されることは「安全」です。その安全を確保することも、設備保全の重要な役割です。
製品の安定的な供給と品質のために欠かせない存在
機械や設備に故障や異常が発生した場合は、生産が停止したり、通常よりも生産ペースが落ちてしまい、製品を安定的に供給できなくなることや、不具合により品質に問題が出てしまう可能性があります。このような事態を防ぐためにも、設備保全が重要で、常に問題が発生していないかをチェックします。
無駄なコストを削減する
機械や設備が故障してしまうと、修理や買い替えでコストがかかってしまいます。思わぬ高額がかかることもあります。耐用年数超過など、仕方がない場合もありますが、設備保全を行い故障を防ぐことで、修理コストの削減につながります。
設備を長く使えるよう保つ
設備保全を行い、備品や部品が劣化していないか状態を把握することによって、機械や設備を長く使うことができます。改善活動により、効率の良いパーツや技術を導入することで、今までよりもさらに長く使えるようにすることも重要です。
設備保全の仕事の年収は?
次に設備保全の仕事が、どのくらい稼げるのかをご紹介します。
平均年収は512万円
厚生労働省のサイトを見ると設備保全に当てはまる「産業用ロボットの保守・メンテナンス」「物流設備管理・保全」「紡織設備管理・保全」の仕事の平均年収は512万円でした。
製造業の「半導体製造」では平均年収が414万円、「医薬品製造」では平均年収508万円のため、製造業よりも設備保全の仕事のほうが稼げる傾向にあることがわかります。
※本記事は2025年2月時点での情報です。
年収を上げるには資格取得がおすすめ
企業によっては、関連する資格を取得していると「資格手当」が支給されることもあります。専門知識を持つことで、スキルアップやキャリアアップにも繋がりますので、以下のような資格取得をおすすめします。
機械保全技能士
製造業、工場作業で欠かせない設備のメンテナンス。機械保全技能士はその技能を証明する国家資格です。取得することで、設備のメンテナンス業務で必要な幅広い知識を身につけることができます。特級・1級・2級・3級に分かれていて、特級が最上位、最も難易度が高いです。3級は実務経験がなくても、受験可能ですがそれ以外は受験資格が設けられています。機械保全に関する業務の実務経験年数(過去の実務経験も含む)が、2級は2年以上、1級は7年以上、特級は1級合格後5年以上必要となります。まずは3級から取得し、経験を積みながら2級、1級と目指すとよいでしょう。
電気工事士
電気工事で電気を安全に使用するために必要な国家資格です。
第一種と第二種があります。第二種は低圧で受電する一般家庭やお店の屋内配線設備などの工事作業に従事できます。第一種は第二種の範囲に加えて高電圧で受電する小規模なビル、工場などの電気設備などの工事作業に従事できます。扱える電圧の幅が広い第一種のほうが難易度が高いため、まずは第二種を取得してから第一種にチャレンジするとよいでしょう。
電気主任技術者
先に説明した電気工事士と同じように感じる方もいるかもしれませんが、電気工事士は工事を行うのに対し、電気主任技術者は電気設備の保安や監督などを行う国家資格です。
第一種、第二種、第三種があります。取り扱うことができる電圧によって異なり、第三種は5万ボルト未満、第二種は17万ボルト未満、第一種はすべての事業用電気工作物の保安・監督を行うことができます。こちらも、第三種から徐々にチャレンジするとよいでしょう。
その他、資格の取得以外では色々な機械や設備の対応をして経験を積んだり、より良い条件の会社へ転職をすることも年収アップに繋がるかもしれません。
年収アップが期待できる会社の特徴とは?
会社によって給与設定や待遇は様々。給与、年収アップが期待できる会社の特徴をご紹介します。


福利厚生が充実している
会社により福利厚生の種類は異なります。基本的な社会保険や交通費、賞与、退職金以外に資格手当や交替勤務時の交替手当、住宅手当や食事手当といった収入に関わるものもあれば、特別休暇や保養施設、その他健康維持に繋がるものなどがあります。福利厚生が充実した会社であれば手当によって収入が増えますし、評価制度がきちんとしている会社であれば、頑張りに応じて評価され給与が上がります。保養施設は通常よりも割安な価格で利用できる場合が多いので、お出かけの際の節約にも繋がります。
幅広い業種や設備を対応している
対応する範囲が幅広い場合は、求められる能力が通常より高い傾向にあります。
入社後に覚えることや仕事量も多いかもしれません。ですがその分給与も通常より高く設定されていることが多いようです。未経験スタートでの採用は難しいかもしれませんので、ある程度経験やスキルを身につけてからチャレンジするとよいでしょう。
キャリアパス制度が充実している
キャリアパスとは、キャリアアップへの道筋で、特定のポジションに就くためにどうしていくべきか、必要な経験やスキルを示すものです。
「3年後にリーダーのポジションに就きたい」など目標を設定して、達成を目指します。
このような制度がある会社は教育・研修体制が充実しているので成長する環境が整っており、キャリアアップ、それに伴う昇給もしやすいといえるでしょう。
設備保全の仕事のやりがい
次に、設備保全のやりがいについてご紹介します。
達成感を得られる
製造現場で設備をスムーズに稼働させるために、定期的な点検やメンテナンスをする設備保全のお仕事では「トラブルなく正常に稼働している」この状態は「自身の対応により実現できている」と実感でき、やりがいを感じることができるでしょう。またトラブルが発生して対処し、止まってしまった設備を再稼働するなど、問題を解決した時にも達成感を得られます。
修理のノウハウを学べる
設備保全は誰もがすぐにできる仕事ではありません。未経験から就業できる場合もありますが、機械や設備の知識や技術が求められ、その分、研修や教育をうける機会が多いでしょう。製造・モノづくりの仕組みを学ぶことができるので、プライベートで身の回りの家電や乗り物が故障した際に、自然と修理やメンテナンスができるようになった方もいるそうです。実際に設備保全の研修内容に自転車の分解と組立を取り入れていることもあります。仕事以外でスキルを生かせることもやりがいの1つといえるでしょう。
キャリアを積めば給与が高くなる
今後も設備保全の重要性は高まると予測されている中で、人手不足の影響もあり売り手市場の傾向がみられます。設備保全の仕事は、先述した通り、誰もがすぐできる仕事ではありません。そこでキャリアを積み、専門性の高い知識やスキルを身につけることで、より企業に求められる人材となり給与が高くなります。
将来性があり生涯を通して仕事ができる
様々なモノの機械化が進み、高度化していることから、安定稼働のために設備保全の需要性は高く、将来性があるといえるでしょう。また設備保全で得るスキルは、製造業以外の多岐にわたる業界でも求められています。どの業界でも設備の安定稼働は欠かせないため、スキルを持つ人材は様々な分野で活躍することができます。
設備保全の仕事が向いている人の特徴
では次にどんな人に向いているのか、設備保全の仕事が向いているであろう人の特徴を紹介します。
実は人のために働くのが好きな人
ここまで説明したように、設備保全の仕事は機械や設備のスムーズな稼働、働く人々の安全確保といった、他のスタッフが効率的かつ安全に作業を進めるための重要な役割を果たします。そのため「人をサポートすることで喜びを感じる人」や「同僚や会社全体に貢献したい」という人も設備保全の仕事が向いているでしょう。
責任感を持って働ける人
重要な役割である分、責任感の強さも必要です。しっかりと点検や整備を行わないと、問題を見逃してしまうことがあり、将来的に大きなトラブルに発展することもあります。基本的なことですが、責任を持って点検や整備を行い、正確に報告することがとても大切です。
さらに、設備が正常に稼働しているように見えても、もし異常を発見した場合には放置せず、すぐに対処することが重要です。異常を放置すると、予期せぬ事故が起こるかもしれませんし、生産性が低下したままでは質の低い製品を製造してしまうことになります。トラブル・故障は突然起こることが多いため、自分の都合に関係なく、すぐに対応することが必要です。責任感を持って保全業務に取り組むことが、定期的な点検でリスクを減らし、トラブル発生時にも迅速に問題を解決するための鍵といえるでしょう。
注意力や集中力がある人
些細な変化や、いつもと「何か違う」という違和感など、細かい部分に気付くことができると、異常やトラブルが起きる原因を発見することにつながります。発見できれば、未然に防いだり、即座に解決できるでしょう。そのため、細かいことにも気付ける注意力がある人に向いています。加えて、業務に慣れてからも気を抜かずに作業をするための集中力も求められます。
機械が好きで設計の知識や図面を正確に読める人
機械を扱う仕事なので、機械やロボット、工具などが好きな人は自ずと仕事に打ち込むことができるでしょう。様々な機械を扱うため、元々機械いじりが好きな人は向いている人が多いようです。DIYやプラモデルが好きな人が製造業に興味を持ち就業し、工場で実際に機械や設備に触れて楽しさを感じ、設備保全を目指す方もいるようです。また好きだからこそ、機械や設備を大切にする気持ちや、細かい変化に気付けることもあるでしょう。好きということ以外にも、設計の知識があることや、図面を正確に読めることも向いている人の特徴といえます。これらがあれば、機械や設備の構造をしっかりと理解した上で設備の保全ができます。トラブル発生時の原因特定や、日頃のメンテナンスをより効果的に行えること以外に、新たな機械や設備を理解する際や、既存の機械の改善提案、第三者へより具体的な説明ができるでしょう。
機械や設備に携わる仕事探しは「ものっぷ」がおすすめ!
ここまで設備保全の仕事について仕事内容や年収相場、やりがいを説明しました。魅力を感じた方もいれば、「難しそう」「興味はあるけど自分には向いていないかもしれない」と感じた方もいるかと思います。少しでも興味があれば、まずは機械や設備に携わる製造業の仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ものっぷは株式会社平山が運営している求人サイトで、製造業の求人情報が多数掲載されています。中には設備保全の仕事や、未経験からプロを目指せる「設備保全研修」のある求人も豊富にあります。(なお、応募状況により定員が埋まってしまっている可能性もあります。)採用コーディネーターのサポートが受けられるため「どう探したらいいのか分からない」という方は、まずはものっぷのカンタン登録をおすすめします。
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