※この記事で説明する「正社員」とは、メーカー直接雇用の正社員を指します。
同じ職場で働く正社員を見て、「大変そう」と思う一方で「やってみたいな」と感じたことはありませんか? 派遣から正社員になれる確率はどれくらいあるのでしょうか。
この記事では、派遣と正社員の違いや、派遣から正社員になるためのステップについて解説します。
【この記事の要約】
● 派遣社員から正社員になるルートとは
● 派遣から正社員になれる確率とその背景
● 派遣先で正社員登用を目指す際のポイントと注意点
● 紹介予定派遣を利用するメリット
● 紹介予定派遣を利用する際の注意点
● 転職するという方法も
● 正社員になるメリットとデメリット
● 正社員に向いている人は?
● 派遣社員に向いている人は?
例として挙げるものはそれぞれ一部です。代表的なものに絞って紹介します。
目次
派遣社員から正社員になるルートとは
派遣から正社員になるルートは3つあります。
一つずつ見ていきます。
派遣社員としての経験を生かして正社員登用を目指す
正社員での登用を希望する会社にて、まずは派遣社員として実績を積み、その経験を生かして正社員を目指すルートです。この方法では、派遣先企業から正社員登用の打診を受けることが必須になります。
● 契約更新のタイミング
● 正社員が退職したタイミング
● 能力やスキルが認められたタイミング
これらいずれかのタイミングで声をかけてもらえるよう、業務レベルを高め、上司や周囲のメンバーと信頼関係を築いておくことが大切です。なお、正社員になりたい意思があることは、定期面談などを利用して上司に伝えておきましょう。また、当該企業における正社員の採用に対する積極性の確認もしておいたほうが良いでしょう。
紹介予定派遣を利用して正社員になる
紹介予定派遣とは、派遣先企業と直接雇用の契約を結ぶことを前提とした派遣契約です。派遣期間中が試用期間となることから、実際の働きぶりを見て適性を判断できるため、正社員への転換が現実的に期待できます。
また、通常の派遣では、派遣先の書類選考や派遣先との面接はありませんが、紹介予定派遣の場合はどちらも実施する可能性があるのも、特徴の一つです。
転職する
最初から正社員の中途採用試験を受ける方法もあります。
派遣から正社員登用される場合は、通常、契約更新のタイミングで切り替わるケースが多いでしょう。個人で派遣されている場合の最長雇用期間は3年のため、入社してから3年間は待たなければならないケースもあります。一方、正社員の中途採用を狙う場合は、合格さえすればいきなり正社員になれるため、期間が短縮できます。ただし、転職活動は必要です。内定を取るまでは準備や対策に忙しくなることを覚悟しましょう。
派遣から正社員になれる確率とその背景
派遣から正社員になれる確率はどのくらいあるのでしょうか。
次の2つの観点から説明します。
派遣から正社員になれる確率
社員登用が前提の紹介予定派遣で正社員になれる確率を考えてみます。
厚生労働省のデータによると、紹介予定派遣を利用した38,239人のうち、19,008人が直接雇用に移行しています。また、独立行政法人労働政策研究・研修機構[MC1] のデータでは、57%の人が直接雇用から正社員になっていました。
これら2つの結果をまとめると、派遣から正社員になれる確率は約28%で、だいたい10人に3人程度が正社員になっているようです。
正社員登用の確率を上げる方法
派遣から正社員になる確率を上げるには、まず正社員への登用を積極的に行っている会社に入ることが重要です。また、紹介予定派遣であったとしても、約束されているのは「直接雇用」というだけであり、正社員で登用してもらえる可能性があるかどうかは事前にきちんと確認しておく必要があります。
派遣先で正社員登用を目指す際のポイントと注意点
派遣先で正社員を目指す際のポイントと注意点を説明します。
正社員登用制度の有無を確認する
「社員登用あり」と求人票に書かれているだけでは足りません。「社員」の中には、契約社員も無期雇用社員も含まれているからです。紹介予定派遣で入った派遣社員が、直接雇用に切り替わり、労働条件通知書を見ると「契約社員」と書かれていた、なんてこともあります。必ず、正社員登用制度があるかを確認しましょう。
勤務態度は正社員登用の重要な基準
勤務態度が良いことは正社員登用の絶対条件です。遅刻や欠勤は厳禁です。特に試用期間でもある最初の6カ月は欠勤ゼロを目指しましょう。なお、遅刻ではありませんが、始業ギリギリに出社するのも良い印象を与えません。毎日15分前には出社して、余裕を持って業務を始められるよう意識してください。
そのほか、周囲に対して高圧的な態度を取ったり、会社の指示に反抗したりすることも絶対に止めましょう。
仕事の成果だけでなく、コミュニケーション能力も欠かせない
業務遂行レベルを高めることはもちろんですが、周囲のメンバーと良好な人間関係が構築できることも重要なポイントです。あいさつや周囲への配慮など社会人としての基本的なマナーが身に付いていることに加え、どのメンバーとも上手にコミュニケーションが取れることも大切です。会社はチームワークを何よりも重視します。正社員として登用するならば、特に協調性のある人が求められることを覚えておきましょう。
派遣契約が満了するタイミングを把握しておく
派遣から正社員を目指す場合は、派遣契約が満了するタイミングがチャンスです。正社員登用の声かけをされるとしたらこのタイミングがほとんどでしょう。しっかりと自分の契約満了日を把握して来たる日のために備えておきましょう。なお、正社員になりたい意思があることは、必ず事前に上司に伝えておきましょう。
紹介予定派遣を利用するメリット
正社員になりたいという希望がある場合に紹介予定派遣を狙う人もいるでしょう。
あらためて紹介予定派遣を利用するメリットについて説明します。
ミスマッチを防げる
紹介予定派遣では最大6カ月の派遣期間を経てから、派遣先企業及び派遣社員双方の合意の上で直接雇用に切り替わります。つまり、最初の派遣期間で実際にその会社で働きながら自分にマッチするかを判断できるという大きなメリットがあります。転職の際に必ず付きまとうミスマッチの不安がないため、安心して入社が可能でしょう。
本人と派遣先の合意が必要となるため、自分で断ることもできる
派遣から直接雇用への移行には、必ず本人と派遣先企業の合意が必要です。派遣社員として実際に働いてみて、自分と合わないと感じた場合は、派遣期間終了時の意思確認の際に入社を断ることができます。もちろん派遣会社が間に入ってサポートしてくれるため、精神的にも安心です。なお、派遣として働いていた期間は入社前のため、断っても自分のキャリアに何ら影響がありません。
派遣会社が仲介やフォローをしてくれる
紹介予定派遣では最終的に直接雇用することが前提となっているため、通常の派遣では禁じられている事前面接や書類選考が認められています。面接自体は一般の採用試験と変わらないため、不安も緊張もありますが、派遣会社が同行してくれるケースもあります。派遣先との調整や交渉なども代行してくれるので、安心して就業することができるでしょう。
紹介予定派遣を利用する際の注意点
メリットの大きい紹介予定派遣ですが、実際に利用する際には次の点に注意してください。
一般的な派遣と異なり、面談・選考がある
一般的な派遣では、派遣先が受け入れる派遣社員を事前に面接したり選考したりすることは禁止されています。一方、紹介予定派遣では、派遣契約終了後の直接雇用に備えて面接や書類選考が認められています。この面談・選考は、派遣会社に登録する際に行う簡易的なものではなく、正社員の採用面接と同程度のものになるため、転職活動同様にしっかりとした準備が必要です。
雇用形態は必ずしも正社員じゃない?
紹介予定派遣は派遣先への直接雇用を前提とした派遣形態です。つまり、直接雇用であれば「正社員でなくても構わない」という落とし穴があります。直接雇用と聞くと、社員=正社員と考えがちですが、契約社員やパート、アルバイトの可能性もあることを覚えておきましょう。
派遣先がどの雇用形態を想定しているかは入社前に必ず確認しておくことをおすすめします。
派遣会社選びは入念に
紹介予定派遣を狙うなら、紹介予定派遣に強い派遣会社を選びましょう。紹介予定派遣に強い会社は、紹介予定派遣求人の件数や直接雇用への移行実績で測ることができます。過去に同じ会社で紹介予定派遣を利用した派遣会社なら会社の内部事情にも精通している可能性があるのでおすすめです。紹介予定派遣の求人数は少ないため、どの派遣会社を利用するかは入念に調べる必要があります。
転職するという方法も
正社員を目指すなら、最初から正社員採用試験を受けて転職するのもありです。
転職のメリットは次の通りです。
他の方法よりも効率的で確実
一般派遣にせよ紹介予定派遣にせよ、正社員になるまでには一定の時間がかかります。派遣期間を通して会社を知ることができるのは良いことですが、一般派遣は正社員になれる保証がなく、紹介予定派遣はそもそもの募集が多くありません。転職で正社員採用試験に合格すれば、いきなり正社員として入社できます。派遣から目指すよりも断然効率的で確実です。
派遣での経験やスキルが生かせる
転職を選ぶからといって、派遣の経験やスキルが生かせないわけではありません。むしろ、派遣で培った業務レベルの高さや周りのメンバーとのコミュニケーション能力は転職時の強みになります。ぜひ派遣中は自分の担当業務だけでなく周りの正社員の業務や動きを研究して、自分ならどう対応するか考える癖をつけてください。正社員に必要なスキルを先に身に付けておくのも転職のアピールポイントになります。
正社員になるメリットとデメリット
正社員になればメリットしかない、というわけではありません。もちろん正社員にもデメリットはあります。
主なメリットには以下のような点があります。
● 安定した働き方ができる
● キャリアアップのチャンスが多い
● 福利厚生が充実
一方、デメリットとしては以下が考えられるでしょう。
● 転勤や異動がある
● 責任に伴う残業や休日出勤の可能性がある
それぞれ説明していきます。
安定した働き方ができる
正社員最大の魅力はなんといっても雇用の安定性です。いつ契約が切られるかわからないといった不安もなく、基本的に定年までは無期限で働くことができます。職を失う心配がない=収入が途絶える心配がないので、安定した生活が送れます。
また、固定給のため、通常の派遣やパート・アルバイトのように月の休日日数で給与が変動する心配もありません。加えてボーナスや退職金なども支給されます。
キャリアアップのチャンスが多い
派遣のように雇用期間が決まっていないため、正社員には裁量権の大きな仕事を任せることができます。結果を出せば評価につながり、昇進、昇給とキャリアアップしていくことが可能でしょう。定年まで長く働いてもらうことが前提のため、会社としてもこういったキャリアアップの制度を充実させているところが多くあります。さらにスキルや資格取得の支援がある会社もあり、自分が望めばどんどんキャリアアップしていける環境が整っています。
福利厚生が充実
家賃補助、定期健康診断、結婚祝い金、子ども手当、資格取得支援など、正社員はさまざまな福利厚生を享受できる場合があります。企業は自社の成長に寄与してくれる社員を支えるため、その基盤となる社員や家族の生活に対して充実した福利厚生を用意しています。
また、正社員は負担する社会保険料を企業に折半してもらえるなど、給与以外にも金銭的に恵まれているのが特徴です。
転勤や異動がある
一方、デメリットとして、全国に支店があるような大きな会社の場合は、転勤を命じられることがあります。また、近年ではジョブローテーションといって、さまざまな部署で経験を積むことを推奨している会社も多く、定期異動がある会社も少なくないでしょう。転勤や異動は命令であり、基本的に断れません。
責任に伴う残業や休日出勤の可能性がある
正社員は裁量が大きい分、責任も大きくなります。そのため、業務時間外や休日であっても業務上どうしても対応せざるを得ない場合には、出勤しなければなりません。もちろん手当は付きますが、休みの日でも仕事優先になってしまうことをストレスに感じる人もいるでしょう。
正社員に向いている人は?
これら正社員のメリットとデメリットを踏まえて、正社員に向いている人の特徴を説明します。
安定した職に就きたい人
雇用が安定していることは正社員最大のメリットであり、「生活を安定させたい」「安定した仕事に就きたい」と考える人は、正社員を選ぶと良いでしょう。懲戒処分や自主退職をしない限り、基本的には職を失うことがありません。また、それほど昇進に執着していないとしても、会社が決めた一定の役割を果たせていればそれなりの立場と収入が得られます。社会的信用を得やすいため住宅ローンなども利用しやすく、腰を据えて将来設計ができるようになるでしょう。
キャリアアップしたい人
決まった仕事を決まった時間だけする働き方に物足りなさを感じている人は正社員になった方がよいかもしれません。
正社員にはキャリアアップできる環境が制度として整えられています。自分の裁量で決められる自由度の高い仕事ができる上、評価次第でどんどんキャリアアップが可能です。モチベーション高く働けるでしょう。
同じ会社で長く働きたい人
無期雇用派遣を除く60歳未満の有期雇用の派遣社員は、最長でも3年までしか同じ事業所で働けません。同じ会社で長く働きたいのなら、直接雇用に転換する必要があります。一方、正社員は定年まで無期限で働くことを想定しているため、転勤や異動の可能性はあるものの、ずっと同じ会社で働き続けることが可能です。
また、正社員には会社としても長く働いて自社に貢献してもらいたいという考えがあります。そのため、実際の業務以外にもスキルアップに役立つさまざまな研修を用意して、自己研鑽(けんさん)を後押ししてくれる会社もあります。
派遣社員に向いている人は?
正社員が恵まれていることはお伝えした通りですが、中には派遣社員として働く方が向いている人もいます。
世間的な評判だけで正社員を目指してしまわないように、派遣社員が向いている人の特徴を次にまとめました。参考にしてください。
仕事とプライベートを両立したい人
仕事とプライベートをはっきり分けたい場合、正社員は向かないかもしれません。もちろん正社員にもプライベートの時間は確保されていますが、業務上どうしても残業や休日出勤しなければならない事もあります。一方、派遣社員は基本的に決まった時間内に与えられた仕事をこなすことが役割であるため、イレギュラーな事態には対応する必要や責任はありません。アフターファイブの予定が立たないといった心配も無用です。
未経験でも新しい仕事に挑戦してみたい人
正社員採用は、同じ会社に長く勤務してもらうことを前提としています。そのため、どんどん新しい仕事を求めて転職を繰り返す人には向いていないかもしれません。また、基本的に転職は即戦力になる経験者採用がベースのため、未経験者でも採用してくれる職種は限られてきます。
限られた人生の中でできるだけ多様な仕事を経験したいのであれば、一つの仕事を短期間で経験できる派遣社員として働く方が向いていると言えるでしょう。
勤務地にこだわりたい人
支店を持つ会社の正社員には、転勤や異動があります。関連会社などへの出向を命じられることもあるでしょう。勤務地や部署の希望は出せますが、会社事情を含めて決定されるため、希望が通らないことも多くあります。「絶対にこの地域で働きたい」など勤務地にこだわりがある人に正社員はおすすめできません。会社命令のため、たとえ希望と異なる勤務地であったとしても拒否できないといったリスクがあります。
残業なしを希望している人
「絶対に定時で帰りたい」「定時で帰れないと困る」というような事情を持っている人には、正社員はあまり向かないかもしれません。
もちろん正社員でも業種、職種によっては残業が少なかったり、自分で仕事の調整をすることで残業がない日を作ったりすることはできますが、毎日必ず定時に帰るというのは難しいでしょう。
派遣で働くなら、まずは【ものっぷカンタン登録】へ
いかがでしたでしょうか。
ものっぷでは雇用形態は派遣元での正社員で働き方は派遣という無期雇用派遣の求人や、派遣先ではなくて派遣元の事務や営業での求人、派遣先メーカーでの直接雇用の実績が多数ある求人などが掲載されています。
勤務地は全国から選択可能。遠方希望の場合は寮/社宅が用意されるお仕事も選べます。単身のみならず、家族やカップル、ペット等と住める物件がある場合も。
直接雇用の正社員として働くか、派遣で働くかお悩み中の方は一度カンタン登録からの相談をおすすめします。