雇用期間に定めのある契約社員。
一般的に契約社員は「ボーナスはもらえない」というイメージがあるのではないでしょうか。
ところが、条件によっては契約社員でもボーナスをもらえる場合があるんです!
この記事では、契約社員でボーナスをもらえる条件や、契約社員のボーナスの実態についてなどを詳しく解説していきます。
- そもそも「ボーナス」とは?
- 契約社員でボーナスがもらえる条件
- 契約社員がもらえるボーナスの金額や回数
- 契約社員でボーナスをもらうためにやるべきこと
- ボーナス以外で収入を増やす方法
- 契約社員からキャリアを広げる、3つの選択肢
契約社員として働こうと考えている方、将来の収入も踏まえてキャリアを考えたい方は、特に参考になる内容です。ぜひご覧ください!
目次
契約社員のボーナスの基本


給料は働いたら必ずもらえるもの。ですがボーナスは、もらえる場合があったり、もらえない場合があったり…
「ボーナスの仕組みってよくわからない」という方も少なくないのではないかと思います。
まずはそんなボーナスの基本からおさらいしましょう。ずばり「一般的に契約社員はボーナスをもらえるのか」という疑問にも答えいたします!
ボーナスとは何か
「ボーナス(賞与)」とは、一般には年に1~2回、通常の月給とは別に支払われる報酬のことを指します。企業の業績還元、従業員へのインセンティブ、長期定着を促す目的などをあわせ持つ制度です。
給与(毎月定期的に支払われる賃金)とは異なり、ボーナスは法律で「必ず支給しなければならない」と定められているものではありません。ボーナスが支給されるかどうかは、あくまで企業の裁量と、契約時にどのような条件で契約したかによります。
▼法律的にはどうなってるの?
労働基準法では毎月支払う賃金を定めていますが、臨時に支払う賞与については明確な義務規定はなく、「支給の有無は就業規則や契約書、慣行などに委ねられる」とされます。
企業ごとに仕組みが変わる
ボーナスの支給制度は、企業によって様々です。
例えば…
支給回数 | 年2回(夏・冬)、年1回、業績により臨時支給など |
---|---|
支給対象 | 正社員のみ、契約社員含む、勤続年数によるなど |
算定方法 | 基本給×固定倍率、業績連動型、評価反映型など |
支給基準 | 評価制度、目標達成、所属部署の業績など |
企業はこれらを自社の制度ポリシーやコスト管理の観点から制定します。
そのため同じ業界の同じ職種であっても、ボーナスがもらえるかどうかや、その金額は「企業ごとにまったく異なる」ということを覚えておきましょう。
契約社員は一般的にボーナスをもらえるのか
結論から言えば、「契約社員でもボーナスをもらえる可能性は十分にあるが、会社や契約内容・就業規則次第で支給されないケースも多い」です。
実際、契約社員を募集する求人情報の中には「ボーナスあり」のものもありますし、正社員と契約社員でほとんど同じ待遇を設けている会社も見られます。
ただしそういった場合は「契約社員・賞与あり」などのように、明記してあることがほとんど。特に記載がない場合、基本的には「契約社員はボーナス対象外」ということが一般的です。
また「契約社員・賞与あり」の場合でも、支給額は正社員より少ないケースや、寸志(わずかな報奨金)に留まるケースも珍しくありません。
契約社員にボーナスが支給される条件


上記までで、契約社員がボーナスをもらえるかどうかは条件によるとお伝えしました。
ここからはその条件について、チェックするべきポイントを具体的にみていきましょう。
就業規則や契約書に明記されているか
まず重要なのは、労働契約書・就業規則・賃金規程などにボーナス支給の定めがあるかどうかです。
契約社員を対象とした労働契約書や就業規則に「年2回賞与支給」「支給基準は評価・業績連動」などの条文があれば、契約社員であっても条件に沿ったボーナスを受け取ることができます。
ただし、契約社員へのボーナス支給については、支給条件(勤続年数、評価、所属部署の業績など)が細かく設定されている場合が多くあります。その基準を満たしていないと支給対象外となってしまうため、条件面をよく確認するようにしましょう。
同一労働同一賃金制度による影響
2020年以降、日本では非正規雇用者(契約社員・パートなど)と正社員との不合理な待遇差を是正する観点から、「同一労働同一賃金」の制度が強く意識されるようになりました。
この制度では、契約社員であっても正社員と同様の業務内容や責任を担うのであれば、「合理的な理由がない限り待遇は同じであるべき」とされています。
契約社員だけをボーナス対象外とするなどの待遇格差が不合理とみなされる場合、同一労働同一賃金の観点から問題視される可能性があります。
こうしたことから、契約社員であっても正社員と明らかな待遇差が生じないよう、ボーナスを支給する企業も増えてきています。
ただ、完全な適用範囲や具体的判断はケースバイケースであり、「同一労働同一賃金だから必ず契約社員にも正社員相当のボーナスを支払わなければならない」と一律には言えません。実際には、正社員独自のキャリアパスに沿ってボーナスの支給条件が定められていることも多く、契約社員はその対象外となっている場合もあります。
求人票や面接で確認するポイント
契約社員として応募する際、事前に以下のポイントを求人票・面接で確認しておくとよいでしょう。
- 「賞与あり」の明記があるか
- 支給回数(年2回/年1回など)
- 支給対象者(契約社員含むか)
- 支給基準・算定方法(基本給○ヶ月分か、評価や業績連動か)
- 勤続年数条件、評価制度との連動性
- 契約更新後にボーナス適用があるかどうか
これらを確認することで、入社後に「ボーナスなしだった」というギャップを避けられます。
勤続年数や勤務態度が評価に反映されるケース
ボーナス支給には、勤続年数・勤務態度・会社への貢献度が評価の材料として採用されるケースが多いです。たとえば、ある企業では「入社〇年以上」「欠勤率・勤務実績良好」などの条件を設けて、ボーナス支給の対象を絞っているところもあります。
そのため、契約社員であっても、長期勤務・安定的な勤務実績を積むことは、支給対象となる可能性を高めるうえで有利に働きます。
契約社員のボーナスの実態


ここまでで、契約社員でもボーナスを受け取れる場合があるとお伝えしました。では、実際に契約社員のボーナスはいつ、どれくらいもらえるのでしょうか?
ここからは契約社員のボーナスの実態についてご紹介いたします。
支給時期は夏・冬の年2回が多い
多くの企業では、ボーナスは 夏(夏季賞与) と 冬(年末賞与) の年2回支給される形式が一般的です。これは正社員における一般的な支給スケジュールと同様です。
ただし、契約社員の場合、制度上支給されるとしてもその回数を抑えたり、年1回や期末一時金という形にとどめる企業もあります。
また、業績悪化時にはボーナスの見送り・削減を行う企業もあり、支給の保証はありません。
正社員と比べて一般的に少額支給
契約社員がもらえるボーナスは、正社員に比べて額が低くなることが一般的です。
正社員のボーナスの平均値に対し、契約社員がもらえるボーナスの平均値は約1/4程度といわれています。
企業としては、期間に定めがある契約社員より、将来も見据えて育成が可能な正社員の方が、ボーナスが手厚くなる傾向があるようです。
寸志や一時金のみの場合もある
契約社員では、正式な「賞与(○ヶ月分)」ではなく、いわゆる「寸志」「一時金程度の手当」のみ支給されるケースも散見されます。このような場合、金額はごく少額であり、支給判断も会社裁量に強く依存します。
[ボーナス・寸志・一時金の違いは?]※囲みタグ使用予定
- ボーナス=業績や評価に応じた特別な報酬
- 寸 志 =会社からの感謝の気持ち、心付け
- 一時金 =条件を満たした時に1度だけ支給される金銭
「寸志」も「一時金」も、制度化されているボーナスとは性質が異なることが多い点に注意が必要です。
業績や評価による変動もある
多くのボーナス制度は業績連動型・評価連動型を取り入れており、契約社員であっても支給額が変動することがあります。会社業績が良い年には支給が増えるけれど、不振年には支給なし・カットというケースもあります。
ボーナスに期待するのであれば、契約条件だけでなく、企業の収益や業績推移にも注目することが重要です。
契約社員としてボーナスをもらうためにすべきこと


「契約社員だからボーナスはもらえないものと考えた方がいいかも…」
そうあきらめるのはまだ早いかもしれません!
契約社員でもボーナスをもらえる可能性は十分にあります。そのために必要な「3つのアクション」を以下にまとめました。
契約前に条件を確認する
入社前・転職前の段階で、以下のようなチェックを必ず行いましょう。
- 契約書・労働条件通知書・就業規則にボーナス支給に関する記載の有無
- 支給回数・支給対象(契約社員を含むか)
- 支給基準・算定方法
- 勤続年数・実績条件
- 契約更新後の待遇変化(契約更新○回で待遇に変更はあるか)
契約更新時の交渉
契約社員は一定期間ごとに契約更新するケースが多いため、更新のタイミングでボーナス付与を交渉する機会があります。実績として高評価を得ていれば、「次の契約から賞与を適用してほしい」という交渉は合理性を持つ可能性があります。
成果や貢献をアピール
ボーナス支給を認めてもらうには、契約社員でも会社に対して不可欠な貢献を示す必要があります。
例えば、
- 業績改善・コスト削減・品質向上などの成果
- 部署横断的な仕事や責任ある業務遂行
- 評価制度における高評価取得
- 安定的な勤怠・信頼度の高い勤務実績
これらを日頃から意識して積み重ね、具体的に示す資料・実績データを準備しておくと、交渉の際に有効です。
ボーナス以外で収入を増やす方法


契約社員として働くうえでは、ボーナス以外の手段で収入を底上げすることも現実的なアプローチです。
残業手当や深夜手当の活用
契約社員であっても、労働時間の超過分(残業手当)や深夜勤務、休日勤務手当などの割増賃金は支払われるものとして法律で定められています。これらを適切に取得することで、実質的な年収を増やすことができます。
ただし、みなし残業制や固定残業制を導入している企業では、定額の給与に残業代が含まれる形となっている場合もあるため、契約書や就業規則でその扱いを確認する必要があります。
福利厚生の活用
給与やボーナス以外にも、福利厚生(通勤手当、住宅手当、各種手当、補助制度など)を最大限活用することは収入の実質的な底上げになります。
手取りを直接増やすこととは異なりますが、毎月必ず出ていくお金(食費、家賃、交通費)を減らすことで、使えるお金が増え、実質手取りアップになるという考え方です。
特に製造業や建設業などでは、食事補助・住居補助・交通費補助などを設定している企業が多くあります。働こうとしている企業の福利厚生はぜひチェックしてみましょう。
資格取得やスキルアップによる昇給
契約社員でも資格取得やスキルアップによって、昇給や待遇改善を叶えることは可能です。
特に技術系・製造業では、専門スキルや資格(機械保全、電気技能、QC、工程改善など)が評価されやすいので、それらを契約更新時の交渉材料としたり、待遇改善に結びつけるのは現実的な手段の1つです。
スキルを武器にして、ボーナスだけでなく基本給そのものを引き上げることを目指してみましょう。
正社員登用の活用
「正社員としての採用はなかなかハードルが高い…」「理由があって今は正社員になれない…」という方は、契約社員として勤務しながら、将来的に正社員としての登用を目指せる「正社員登用制度」のある企業も検討してみるといいでしょう。
また正社員登用制度を導入していない企業であっても、契約社員として一定期間就業し、その間にしっかりと実績を残せば、正社員へとステップアップできる場合があります。
期間に関わらず長期で働ける人材の確保は、企業にとってもメリットがあります。就業期間が長くなってきたら、正社員登用を希望する旨を企業に伝えてみましょう。
契約社員からキャリアを広げる選択肢
契約社員として働く上で、ずっと同じ条件・同じ待遇では将来が不安…という方も多いですよね。
契約社員からキャリアを広げたい、収入や待遇をアップさせたいという時、どのような選択肢があるでしょうか?
ここでは、主な3つのキャリアパターンをご紹介いたします。
契約更新して長期的に働く
まずは、同じ職場で契約を継続することで、勤務実績を積みながら待遇改善を交渉できる立場をつくることが現実的な手段の1つです。
長期勤務を通して信頼を得たり、評価を蓄積したりすることで、正社員登用やボーナス支給交渉の余地が広がります。
正社員登用制度を利用してキャリアアップする
前述の通り、正社員登用制度を活用する道は非常に有効です。契約社員として勤務しながら正社員化を目指す方式は、多くの会社で採用されており、契約社員時代の実績を基に登用を判断する企業もあります。
正社員になれば、ボーナス・昇給・昇進などの面で条件アップの可能性が高まります。
派遣・契約・正社員で比較するポイント
働き方の選択肢として「派遣社員」「契約社員」「正社員」を比較する際には、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
働き方 | ボーナス支給 | 安定性 | 昇給・昇進 | 自由度 | リスク |
派遣社員 | ほとんどなし | 契約期間ごと | 期待できない | 比較的自由 | 契約更新にいたらず終了のリスクあり |
契約社員 | 条件次第で支給あり | 中程度 | 条件による | やや自由 | 契約更新・待遇変動のリスクあり |
正社員 | 一般的に支給制度あり | 高い | 昇給・昇進あり | 企業制度により就業の縛りあり(副業不可など) | 転勤リスク、残業リスクなどあり |
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「派遣社員」と「契約社員」の働き方の特徴については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね!
派遣社員と契約社員は何が違う?働き方の特徴やそれぞれのメリットを解説 – ものっぷナビ
自分に合った働き方で収入アップを目指そう!
契約社員であっても、ボーナス(賞与)をもらえる可能性はあります。
ただし、それを叶えるためには支給規定をしっかり理解しておく必要があります。
[まとめると]
契約社員を選ぶ際には、「契約条件(ボーナス・手当・昇給など)の明記があるか」「正社員登用制度が整っているか」「将来的キャリアパスが描けるか」を重視して求人を比較するとよいでしょう。
ボーナスは「給与にプラスで受け取れる報酬」です。契約社員で働く場合でも、ぜひあなたの能力や将来性を評価してくれる会社を選び、理想の働き方を叶えてくださいね。
[ポイント]
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