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設備保全の仕事の将来性について教えて!設備保全の役割や現在の課題、IoT化、デジタル化の未来について

工場内の設備の点検やメンテナンスなどを行う「設備保全」の仕事。
工場には欠かせない専門職として、その将来性や安定性に魅力を感じてこの仕事を目指している方も多いと思います。

しかしながらAIやデジタル技術の発展により、様々な職業が将来はAIに代替されると言われる中で「設備保全はずっと続けられる仕事なの?」という疑問も浮かぶのではないでしょうか。

本記事では設備保全の具体的な仕事内容、この仕事の難しさや課題、デジタル化で働き方がどのように変わっていくのかなどを解説します。

【この記事で分かること】
●設備保全の「5つ」の役割
●設備保全の仕事内容は?手順を具体的に教えて!
●設備保全における課題
●設備保全のIoT化・デジタル化とは?どう活用されるの?
●将来AIやロボットに仕事を取って代わられる可能性はあるの?
●これまで以上にスキルが求められる可能性も!

これから設備保全の仕事を目指したいと考えている方はもちろん、現場で今後も設備保全を続けていくか検討している方も、ぜひ参考にしてみてください。
それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。

設備保全の「5つ」の役割

まずは設備保全の役割についてです。
設備保全の役割は大きく分けて以下の5つがあります。

1. 設備機器の故障の防止

工場内の設備は、正しく動かしていたとしても様々な理由により故障してしまうことがあります。設備が故障すれば生産に遅れが出たり、時には生産が止まってしまうこともありえます。そうなった場合、メーカーは経済的にも信用的にも大きな損失を招くことになります。

それを防ぐことは設備保全の主要な役割の1つです。故障してから修理するのではなく計画的に保全を行うことで、生産を止めることなく商品を安定供給でき、工場全体の損失を減らすことができます。

2. 機械や部品の持ちを良くする

設備を構成する部品は、使用を重ねるうちに劣化や摩耗していきます。それらの部品の劣化に気付かないまま稼働を続けてしまうと、劣化した部品が破損してしまうだけでなく、他の部品に負荷をかける可能性があります。そして各部品に無理な負荷をかけ続けたままさらに稼働を続ければ、最終的に設備全体の寿命を縮めてしまうことにつながります。

こうしたことを防ぐために、定期的に機械の部品を交換する必要があります。とはいえ劣化していない部品を頻繁に交換すれば無駄な交換コストが増えてしまうため、適切なタイミングで部品交換を行う必要があります。

設備保全で定期的なメンテナンスを行いつつ正確な部品交換の計画を組むことで、無駄なく設備の寿命を延ばすことが可能になります。

3. 従業員の安全を確保する

設備保全の仕事は工場内の設備だけでなく、工場で働く授業員の安全を守ることにも役立っています。

工場設備には安全装置が備わっており、また事故などが起こらないよう機械の操作方法も厳密に定められています。しかし安全装置に不具合が生じたり機械が故障して通常とは違う動きをしたりすると、予期せぬ事故を引き起こすことも。時には工場で働く従業員が危険にさらされることもありえます。

日ごろから点検整備を行うことで、工場で働く人の安全、安心を守ることも設備保全の重要な役割です。

4. 品質のばらつきを防ぎ不良品を減らす

製造業において顧客を満足させるためには、提供する製品の品質にばらつきがないことが非常に重要です。

例えば食品製造で「いつもと味が違う」「内容量が規定と違う」といった製品は基本的に消費者に提供できません。また精密部品など規格が厳密に決まっている製品の場合、わずかなズレであっても規格外として不良品となってしまいます。

不良品の頻出は無駄なコストがかさむだけでなく、繰り返されることで顧客の不満が蓄積し、最終的には発注先を他社に切り替えられ大きな企業損失につながるリスクがあります。そうしたリスクを回避するために、製造企業にとって設備保全は重要な管理項目の一つです。

5. 「チョコ停」を減らす

工場ではよく「チョコ停」という言葉が使われます。これは「チョコっと停止」の略で、なんらかのトラブルがあった時に短時間だけ機械を止めて作業を中断することを言います。

ライン作業で遅れが出た時、材料に不備があり交換が必要になった時など、チョコ停の原因は様々。設備の不調やトラブルも、特に多いチョコ停の原因の1つです。

チョコ停の回数が増えればそれだけ生産量が減ってしまい、時間もロスしてしまいます。ほんの数分のチョコ停でも10回、20回と回数を重ねれば大きなロスとなります。これは「空転ロス」とも言われ、各メーカーが改善・解消に取り組んでいます。空転ロスを減らすことも設備保全の主な目的です。

設備保全の仕事内容は?手順を具体的に教えて!

工場において非常に重要な役割を担う設備保全。では具体的に、どんな業務を行うのでしょうか?
ここからは、設備保全の仕事手順を具体的に解説いたします。

保全計画を立てる

設備保全では、まずはじめに保全計画の策定を行います。
工場内の設備の情報を管理するための「設備台帳」を参照しながら、設備の種類や導入時期、過去のメンテナンス履歴などを詳細に分析し、設備ごとに最適な保全サイクルを計画します。
また作業を効率よく行うために保全スタッフのスケジュール調整もあわせて行います。

保全活動を行う

保全計画にもとづき、実際に保全スタッフが設備のメンテナンスや点検などを行います。
設備のメンテナンスや点検は「作業指示書」に沿って行います。作業指示書には必要なツールや部品などの他、保全の手法や手順なども記載されています。作業指示書を確認し、設備ごとに適切な手法で点検、メンテナンスを実施します。

保全結果を設備台帳に記入し、共有する

保全活動が完了したら、実施した作業の結果を設備台帳に記入し保全の記録を残します。
記録は次回以降の保全活動に使われるだけでなく、設備の評価や分析のデータとしても活用され、将来の保全計画の制度を高めるために役立てられます。そのため作業指示書や作業報告書にもとづき、正確に記入する必要があります。

また記録した内容は部門内、工場内など組織で共有することも重要です。保全結果を共有しチーム内の全員が設備の状態を理解することで、必要に応じて迅速に対応できる体制を整えることができます。

設備保全における課題

工場の安定稼働に必要不可欠な設備保全ですが、その専門性の高さゆえにいくつかの課題も抱えています。
ここからは、設備保全という職種が抱える課題や難しさについてお伝えしていきます。

中小企業では十分な実施が困難

大企業に比べて予算や人員が限られている中小企業では、設備保全に必要な資金・人員を確保できず、実施が困難な場合があります。

事業規模が大きく予算も人員も確保できる大企業であれば、社内に設備保全を専門に行う部署を設置したり、外部の専門業者と保守契約を結び設備保全を委託したりといったことが可能です。
しかし中小企業の場合、専門の人材を社内で確保することができず、製造業務に加えて設備保全業務も担わなければならないといったことも珍しくありません。そのため定期的なメンテナンスなどの実施が現実的に難しいという現状があります。

また予算の面でも、専門業者への委託や、高価な保全ソフト・最新の機械など導入に多額のコストがかかるものを活用しての保全活動は大企業に比べると実施のハードルが高いと言えます。

ヒューマンエラーが起こりやすい

設備保全の業務には手作業が必要な工程も多く、点検の見落としや確認不足など、ヒューマンエラーが発生することがあります。

人の手で行う作業である以上、ミスや見落としなどの「うっかりミス」が発生するリスクはゼロではありません。そうしたミスを防ぐために、ヒューマンエラーが発生しやすいポイントを特定し注意点をマニュアル化したり、従業員に正しい作業手順を再教育するなどの対策が必要となってきます。

業務が属人化しやすい

特定の従業員が設備保全を担当することが多い場合、担当者しか作業を把握できていない状態…いわゆる「属人化」しやすいという課題があります。

属人化が進むと、その担当者が不在時のトラブルに誰も対応ができず、業務に支障が出てしまいます。ひいては「あの人がいないとトラブル時に困る」といったことから担当者の残業や休日出勤が増えるなど、特定の人に過度な負担がかかってしまう原因にもなります。
また、担当者が退職時にノウハウや正しい作業手順が失われ、トラブルが増える可能性もあります。

マニュアルや作業手順書が整備されていないことが多い

上記の「属人化しやすい」という内容にもつながりますが、設備保全の業務は作業内容が多岐に渡ることもあり、現場によってはマニュアルや作業手順書が整備されていないことも多くあります。

マニュアルや作業手順書が整備されていない状態は、保全活動の内容が一貫せずトラブルが多発したり、効率が下がったりする原因に。
新入社員や未経験者の知識不足による不具合だけでなく、経験者による「解釈違い」「認識のズレ」による不適切なメンテナンスのリスクにもつながります。

設備保全のIoT化・デジタル化とは?どう活用されるの?

ここまでで、設備保全とはどういった仕事なのか、どんな課題を抱えているのかなど設備保全の「今」についてお伝えしてきました。では「これから」の設備保全の仕事はどのように変化していくと予想されているのでしょうか?

まずは昨今耳にする機会が増えた「設備保全のIoT化・デジタル化」についてお伝えいたします。

設備保全のIoT化・デジタル化って?

設備保全のIoT化・デジタル化とは、センサーなどを使用して設備の状態をリアルタイムで監視し、そのデータを専用システムと連動させて保全活動を行うことです。近年では最新のITテクノロジーにより、人の目や五感では認識できない項目をセンサーで把握して保全作業に活かす事例も見られるようになってきています。

予知保全への導入が期待される

予知保全(予兆保全)とは、設備全体や部品の状態から将来的な設備のトラブルを予測し、あらかじめ部品交換などの保全作業を実施することで、設備の故障を未然に防ぐことです。

予知保全をIoT化・デジタル化するメリットとして以下の2つが挙げられます。

*生産性の向上
*コストの圧縮

【生産性の向上】

設備のデータを取得し予測メンテナンスを実施することで、生産ラインの計画的な停止時間を減らし、工場の稼働率を高めることが可能に。設備のメンテナンス期間(ダウンタイム)を最小限に抑えられるので、生産性の向上につなげられます。

【コストの圧縮】

決まった周期でのメンテナンスではなく、設備の状態(部品の劣化や摩耗など)をリアルタイムで把握したうえで、必要なメンテナンスを実施できます。それにより不必要な保全作業の時間とコストの削減が実現可能です。

将来AIやロボットに仕事を取って代わられる可能性はあるの?

技術の進歩により、100%人の手で設備保全を行っていた時より効率よく、正確に保全業務を実施することが可能になってきました。
では設備保全の業務自体も、将来的にAIやロボットが主体となり、人が行う仕事はなくなってしまうのでしょうか。

結論、難しい!

結論から言うと、設備保全の仕事をAIやロボットに置き換えることは現実的に難しいと言えます。その理由は、以下の通りです。

イレギュラー時の対応が不十分

設備保全の業務では、予期せぬトラブルや突発的な異常の対応を求められる場面も多くあります。過去のデータをもとに対応方法を導き出すAIやロボットでは、そうしたイレギュラーなトラブルには十分に対応ができません。

テクノロジーは日々進歩を続けていますが、ときに従業員の命にもかかわる保全の仕事を、AIやロボットに代替させるのは難しいのが現状です。

AIに保全業務を行わせるには膨大な学習が必要

工場で稼働している設備は非常に多種多様であり、同じような動きをする設備であっても、製造品目によってまったく役割が異なるという場合も少なくありません。

それら1つ1つの設備のデータをすべて集め、さらに故障の予知や保全後の対策の洗い出しなども自動化するとなると、AIに膨大な学習をさせる必要性が出てきます。

AI技術と同様に製造設備も進歩を続けています。新しい設備を導入したり、老朽化により設備を入れ替えたりといったことも加味すると、AIに保全業務をすべて行わせるのは現実的ではないと言えるでしょう。

これまで以上にスキルが求められる可能性も!

少し前まで手作業が多かった「モノづくり」の現場も、loT化やAI技術の発展によって急激に様変わりした昨今。生産設備はより高機能・高性能になりました。ロスを減らし効率よく製品を安定供給できるようになったことで、生産コストの削減にもつながっています。

ハイレベルな専門教育が必要に

設備保全には、効率よく保全を行うための保全計画を策定する計画性、それを記録し共有する情報処理能力、トラブルを予知する予測能力、イレギュラーに対応できる柔軟性など様々な能力が求められます。

さらに近年は、設備性能の向上によって設備保全にはよりハイレベルな専門教育が必要とされるようになってきています。保全に関する知識・技術だけでなく、データを活用し予知保全に実装できる技術やAI学習の知識などを保有していると、強みになる可能性が高いです。

設備保全で活躍したい方はものっぷがオススメ

製造現場において非常に重要な役割を持ち、高い専門性が求められる設備保全。それだけにITテクノロジーが進歩する中でも代替が難しく、数ある職業の中でも特に将来性のある職種だと言えるでしょう。

「工業系の学校で専門的に勉強した人じゃないと設備保全は無理?」
「設備保全は未経験からは難しい?」

という方もご安心ください。
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